おかげさまでベゼリーのハードウェアは発売できる段階まで到達することができましたが、ソフトウェアはほとんど空っぽな状態です。今後、とくにディープラーニングによる画像認識技術と結びつくことで、ベゼリーは人々の生活に大きく影響を与える存在になるはずです。チーム・ベゼリーとしては以下のようなビジョンを描いています。ぜひ皆さんの力でベゼリーにソフトウェアを与え、サービスとして完成させていただきたいと願っています。
①客観視ロボットとしてのベゼリー
かつて人は、楽をするためロボットなどの技術を必要としていました。しかしオートメーション化によって生活が豊かになり、普通に暮らすなら無理して働かなくてもよい時代になってくると事情が変わります。人は堕落することを恐れ、自分を律するために自分を客観視してくれるロボットを求めるようになるのです。
客観視ロボットは各部屋に配置され、カメラで住人の生活を撮影し、行動を分析し、何か感じることがあれば喋ります。住人がなまけているように見えたら、「なまけているの?」と質問します。「人は8歳の少女に罵倒されると最も傷つく」という研究報告があるそうですが、罵倒までしなくても、ロボットから素朴な疑問を投げかけられるだけでも、怠惰な心を叱咤するには十分でしょう。もちろん頑張った時には称えてくれますし、様々なアドバイスもしてくるので、ひとはより充実した生活を送れるようになります。
こういった存在は、人間では恥ずかしいですしプライバシー的にも問題があります。かといって監視カメラから質問されても何も感じませんので、人格が宿っているかのような子供型ロボットが丁度よいのです。将来のベゼリーは安価に生産されるので、すべての部屋に配置したとしても、さほど負担にはならないです。
②ウェアラブルロボットとしてのベゼリー
かつてのGoogle Glassのコンセプトのように、移動中、常にカメラで前方を撮影し続け、風景や人物を画像解析して関連する情報が得られたら間違いなく便利です。以前会ったけど忘れてしまった人と再会したとき気まずい思いをしなくて済みますし、いちいち検索しなくても、見るだけで情報を調べることができるようになります。Google Glassはプライバシーの問題で発売延期を余儀なくされてしまいましたが、ベゼリーを肩に乗せれば問題は解決します。肩の上のロボットが風景を見ているだけですから、盗撮には該当しません。映画館の中など、撮影自体が問題になる場所では、ベゼリーの頭にすっぽりと帽子を被せてしまえば、撮影していないことも明確に提示することができます。
肩乗りベゼリーは便利なだけではありません。犬を散歩している人どうしが出会ったとき、初対面でも自然に会話ができてしまうように、ベゼリーを肩に乗せているひとどうしがすれ違ったとき、予期せぬ出会いが生まれます。ベゼリーは相手のベゼリーに勝手に挨拶して会話のきっかけを作りますし、自分の主人がいかに素晴らしい人物なのかについて語ってくれます。ベゼリーが勝手に言っているだけなので、自慢することなく、さりげなく自分をアピールできるわけです。町を歩くひとが皆ベゼリーを肩に乗せる時代になったら、人々のコミュニケーションの形も変わっていくでしょう。
③プロモーションロボットとしてのベゼリー
カーネルサンダース人形やペッパーの例を挙げるまでもなく、ロボットは店頭でのプロモーションに活用できます。人はセールスマンの勧誘を断るとき罪悪感を感じるため、最初からセールスマンには近づこうとしない傾向があります。しかし相手がロボットなら、いつでも立ち去ることができるので、安心して商品説明を聞くことができるのです。
ペッパーしかり、従来のプロモーションロボットは孤軍奮闘していましたが、べゼリーは安価で小さいので、店頭に複数並べることができます。2体並べて「説明役」と「質問役」を担わせることもできますし、上の写真のように多数並べて、「主婦役」「子供役」などそれぞれの立場から商品を説明させることもできます。ファミ通のクロスレビューやAmazonレビューのようなものですね。セールスマンに売りつけられるのではなく、様々な意見をもとに、客は主体的に「あくまで自分の意思で」商品の購入を決めることができるようになるのです。様々な視点から商品の価値を計ることができるようになるわけです。