Raspbianをちょっと使いこなす

・リナックスはキーボードで文字を入力しなければなりませんで、長い文字を入力するのは面倒ですし、ミスも起こりがちですよね。そこでリナックスの便利機能の1つをご紹介します。tabキーによる入力補完機能です。

・まず コマンドプロンプトで「cd b」と打ってみてください。まだリターンは押さないでください。

・この状態で「tab」キーを押してみてください。下記のように表示されると思います。

・ユーザーは「b」としか入力していないのに、リナックスが自動的に現在のディレクトリから「b」で始まるディレクトリを探して、「bezelie」というディレクトリが見つかったので、自動的に表示してくれたのです。このあとリターンを押せば、bezelieディレクトリに移動することができます。

・これが「tab」キーによる入力補完機能です。今回は「b」で始まるディレクトリが1個しかなかったのですぐに「bezelie」がでてきましたが、「b」で始まるディレクトリが複数ある場合は、「tab」を1回押しただけではなにも起きません。2回押すと候補が表示されるので、それを見て「b」に続く文字をキーボードから入力し、該当するディレクトリが1個まで絞り込まれたら「tab」キーで補完がされるようになります。

・次に、サンプルプログラムを実行してみましょう。まず「~/bezelie/flitz」ディレクトリに移動してください。

・あらためてどんなファイルが入っているのかを確認しましょう。「ls」コマンドを使います。

・サンプルプログラムの1つである「study_print1.py」というファイルがあると思います。このように拡張子が「py」のファイルは、プログラミング言語「python(パイソン)」のプログラムファイルです。ラズパイのパイはパイソンのパイですから、ラズパイにとっては標準的なプログラミング言語です。「study_print1.py」を実行するためには頭に「python3」をつけて、「python3 study_print1.py」と入力する必要があるのですが、上述の補完機能を活用して入力してみましょう。まずは「python3 st」とだけ打ってtabキーを押します。

・自動的に「python study_」と補完されましたね。続いて「p」と入力し、また「tab」を押してください。

・狙い通り、自動的に「python study_print1.py」と表示されたので、リターンキーを打つとプログラムが動きます。

・なんとも面白味のないプログラムではありますが、とりあえずphthonのプログラムを実行することには成功しました。おめでとうございます。

・次に、先ほど実行したプログラムの中身を確認してみましょう。「nano」という名前のテキストエディター(文字ファイルを編集するアプリ)を使うことにします。補完機能を活用しつつ、「nano study_print1.py」と入力してください。

・続けてリターンキーを押すと、nanoが起動し、プログラムの中身が見えます。

・これが「study_print1.py」というファイルの中身です。詳細は後述しますが、ここではとりあずキーボードの上下キーを使って画面を縦スクロールさせて、全体を眺めてみてください。「page Up/Down」キーやマウスのホイールも使えます。リナックスには「nano」のほかにも優れたエディターがたくさんあるのですが、nanoはシンプルなので、初心者のかたにお勧めです。

・ではnanoを終了してみましょう。ウィンドウの左下に操作方法が表示されています。

・左下に「^X  Exit」と書かれていますね。「^(カレット)」は「コントロールキーを押しながら」という意味なので、コントールキーを押しながら「x」を押してみてください。

・元の画面に戻りましたね。お疲れ様でした。

・こんどは単にファイルの中身を見るだけでなく、ちょっと書き換えてみましょう。前回は「nano ファイル名」と入力しましたが、これだと見ることしかできず編集ができないので、今回は頭に「sudo」をつけて実行します。

・「sudo」は「スゥードゥー」などと発音し、ファイルの書き換えなど他のひとの迷惑になりそうなことをやるときには、コマンドの先頭につけなくてはなりません。リナックスは多数のユーザーが同時に利用することを想定しているOSなので、管理者以外のユーザーが間違って大切なファイルを書き換えてしまったりしないように対策がとられているのですね。リターンキーを押してnanoを起動してください。

・方向キーでカーソルを移動し、10行目の「Hello World」までもっていってください。

・このメッセージを自分好みに書き換えてみましょう。まずback spaceキーやdeleteキーを使って「Hello World」を消しますが、その際、文字列両端の「”(ダブルクォーテーション)」まで消してしまわないように注意してください。これはここからここまでは文字列ですよーということを指定するための重要な記号です。

・続けて自分好みのメッセージを書き込みます。英語でもよいですが、ついでに日本語入力方法も学んでしまいましょう。キーボードのコントロールを押しながら、スペースを押してください。

・このように「Mozc」と表示されたら、日本語の入力が可能になった証拠です。Mozc(モズク)はGoogleが公開している日本語入力システム(IME)の名称です。「漢字」キーを押して、ひらがなを入力してみてください。たとえば「じっこうしてます」など。
・ひらがなが表示されない場合は、キーボードの「漢字キー」を押すと、英語モードからひらがなモードに切り替わるかもしれません。

・スペースキーで漢字の候補を表示し、よければリターンキーで決定します。

・「実行中です」を「実行してます」に変えることができたので、ファイルを保存して終了しましょう。画面左下に「^X 終了」と書かれてますので、コントロールキーを押しながらxを押します。するとウィンドウの下部に下記のように表示されます。「変更されたバッファを保存しますか?(NOと答えると変更は破棄されます)」と書いてあります。

・ここで「y」を押せば次の画面に進むのですが、日本語入力状態になっていると「y」が入力できないことがあります。そんなときは「漢字」キーを押して英数字入力状態にしてから「y」を押してください。

・ファイル名を変えたい場合はここで書き換えます。たとえば「study_print2.py」など。書き換えないのであれば、そのままリターンキーを押せば、ファイルはセーブされてnanoは終了します。

・さて、プログラムの変更が上手くいったかどうかを確認するために、プログラムを実行してみましょう。「python3 study_print1.py」と打ち込めばいいわけですが、さっき打ったばかりのコマンドをもういちど打つのは面倒ですよね。そこで方向キーの上を何回か押してみてください。過去に打ち込んだコマンドが逆順に表示されるはずです。行き過ぎてしまったら方向キーの下で戻すことができます。以前打ち込んだ「python3 study_print1.py」を見つけて、リターンキーを押してみましょう。

・メッセージが「実行してます」に変わってますね。プログラムの修正に成功しました。おめでとうございます。