Raspbianの基本

・ラズパイに入っている基本ソフトOSはWindowsでもmac OSでもありません。ラズビアンRaspbianというリナックス系のOSです。
・Windowsやmac OSがマウスを使ってやるところをキーボードからの文字入力でやるので面倒に感じるかもしれませんが、画面表示がシンプルなぶん、ラズパイのような安いマイコンでも軽快に動作することができます。
・リナックスはマウスを使わない代わり、キーボードからコマンドを打ち込みます。コマンドはいっぱいありますが、cd(チェンジディレクトリ)とls(リスト表示)だけ覚えてしまえば、とりあえず使えるようになりますので、サクッと覚えてしまいましょう。

LXターミナル

・それではリナックスのコマンドを打ち込むための画面を開きましょう。デスクトップ画面の左上の黒い四角いアイコンをクリックしてください。

・この黒いウィンドウがLXターミナルです。Windowsやmac OSがマウスでやるようなことを、リナックスはここでキーボードからコマンドを打ち込むことで行うわけです。

・ドルマーク($)に続いて表示されている小さな四角が、コマンドプロンプトです。プロンプトとは「促す」という意味で、ラズパイから「早くコマンドいれてくださいよー」と催促されているわけです。キーボードから文字を打ち込むと、ここに表示されます。

・コマンドプロンプトの左側には「pi@raspi:~ $」と表示されていると思います。「:(コロン)」と「$(ドル)」の間には、「今いる場所=カレントディレクトリ」が表示されるのですが、最初は「~(ティルダ)」が表示されています。つまり、今いる場所(カレントディレクトリ)は「~」だということがわかります。
・カレントとは「今の」という意味です。ディレクトリとはWindowsやmac OSでいうフォルダのことで、フォルダと同様に階層構造になっています。つまり大もとのディレクトリの下に、複数のディレクトリが入っていて、そのディレクトリの下にも複数のディレクトリが入っているような構造になっています。
・先ほどでてきた「~(ティルダ)」はユーザーディレクトリと言って、ユーザーにとってもっとも基本的なディレクトリです。Windowsのユーザーフォルダみたいなものですね。ユーザーが何か新しいことを始めようとする時は、だいたいこの下に新しいディレクトリをつくりますし、ここより上の階層には、OSを動かすための基本的なファイルが入っているので、ユーザーはあまり触りません。
・よく使うディレクトリなので「~」という特別な記号が割り振られているのですが、実際にはユーザーディレクトリは/home/piにあります。つまりユーザーディレクトリの上にはpiというディレクトリがあり、さらにその上にはhomeというディレクトリがあるわけです。しかしこれら上位階層のディレクトリにはOSを動かすための基本的なファイルが入っているので、初心者は触らないほうが無難です。

・それでは「ls(エルとエスの小文字)」と打ち込んで、ユーザーディレクトリにどんなファイルがあるのかを確認しましょう。
・なお、今後はコマンドプロンプトをドルマーク($)で表記します。以下のように書かれている場合、コマンドプロンプトで「ls」と打ってリターンキーを押すという意味になります。ドルマークを入力する必要はありません。

$ ls

・何やら文字がいっぱい表示されたと思います。lsはリストの略で、今いる場所にあるファイルのリストを表示するコマンドです。青色に表示されているのがディレクトリです。

・上段の3番目に「bezelie」というディレクトリがありますね。ここに移動してみましょう。「cd bezelie」と打ち込みます。cdはチェンジディレクトリの略で、ディレクトリを移動するためのコマンドです。

$ cd bezelie

・コマンドプロンプトの左の「:」と「$」の間が変化したのに気づきましたか?「~/bezelie」と表示されましたね。カレントディレクトリが「bezelie」という名のディレクトリに移動したのです。
・それではbezelieディレクトリにどんなファイルがあるのかを調べるため、「ls」と打ってみましょう。

$ ls

・緑色で表示されている7つのファイルはべゼリーが使っている設定ファイルです。「flitz」と青く表示されているのはディレクトリです。つまり「bezelie」ディレクトリの下には「flitz」ディレクトリがあるわけです。flitzディレクトリの中に入ってみましょう。「cd flitz」と入力してみてください。

$ cd flitz

・コマンドプロンプトの左側がまた変化しましたね。ユーザーディレクトリの下にある「bezelie」ディレクトリのそのまた下にある「flitz」ディレクトリに移動したのです。それでは「flitz」ディレクトリの中身を調べるため、「ls」と打ってみましょう。

・緑色のファイルが大量に表示されましたね。ベゼリー専用のプログラムがいっぱい入っているからです。

・以上で基本の基本は終了ですが、ついでに「cd」コマンドの応用テクニックをお伝えしましょう。上記画面の状態で、コマンドプロンプトから「cd」と打ってみてください。

$ cd

・コマンドプロンプトの左がまた変わり、「~」だけが表示されたはずです。つまりユーザーディレクトリに1発で戻ってきたわけです。普通はcdのあとに移動先のディレクトリ名を入力するのですが、移動先を省略して単にcdと打つとユーザーディレクトリに戻るのです。つまりどのディレクトリにいたとしても、cdと打つだけで戻ってこられるわけですから、迷子になっても安心ですね。
・さて次は応用技です。ユーザーディレクトリから一発でflitzディレクトリまで移動してみましょう。「cd bezelie/flitz」と打ち込んでみてください。

$ cd bezelie/flitz

・うまくいきましたか?そうです。ディレクトリ名の間に「/(スラッシュ)」をはさむことで、多階層のディレクトリを一気に下ることができるのです。
・今度は1つ上の階層に移動してみます。「cd ..(ピリオド2つ)」 と入力してみてください。cdと..の間にはスペースが必要です。

$ cd

・1つ上の階層、つまりbezelieディレクトリに上がることができましたね。「..(ピリオド2つ」は1つ上の階層を示すのです。
・以上。lsとcdが使えるようになれば、メモリーカード内の好きな場所に移動して中身を確認することができますので、いろいろ探ってみてください。
・これでもうあなたは、「リナックス使える?」と聞かれたとき、「使えるよ」と答えても嘘つきではなくなります。よかったよかった。